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help RSS 極めて個人的な覚書〜伊藤若冲 アナザーワールド @ 千葉市美術館

<<   作成日時 : 2010/07/01 00:09   >>

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 * 7月7日、一部訂正+補足



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 千葉に行ったので、評判の良い伊藤若冲展も見てきました。
 ぎりぎり。滑り込みセーフ。
 また若冲か、という感じですが、比較的見たことが無い作品が多かった後期展示で、結果的によかった。
 


 伊藤若冲 アナザーワールド Ito Jyakuchu♡ Another World

    @ 千葉市美術館

    (〜6月27日(日)まで、すでに終了)



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 以下、心にとまった作品等に関する、あくまでも個人的なメモ。



 象と鯨図屏風 (1795年)

 (下の写真は、屏風の一部の拡大が見開きになっている目録のページ)


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 この展覧会一番の目玉なんだろう。
 海と陸で、クジラと象が対峙する奇想天外な屏風。

 海の波と右隻の方の山並み?がいっしょになってたゆたう様や、象の傍に描かれた植物の美しさなどは、さすが。
 また、風船まんじゅうみたいに、妙に重量感の無い象もすさまじいのだが、
(これは、象の亡霊?)
 クジラの方は、思ったほど迫力が無かった。むしろ静謐な雰囲気。
(国芳の海の巨大生物パノラマシリーズばかり観たせいか)



 それよりも、こちらに驚いた。

 
 白象群獣図
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 あの樹花鳥獣図屏風ばりのタイル型点描画なのだが、
 モノクローム、というか、セピア?しかも、なんと額縁がついている。
 もはや、どういうジャンルの絵だか、わけがわからん。別にどんなジャンルでもかまわないが。

 あまりにも有名な樹花鳥獣図屏風は、若冲の絵をもとにそれを組み合わせて、銭湯専門のタイル職人か誰かが描いたのではないか、とわたしは密かに思っていたのだが、これが若冲の真作なら、その幻想もあえなく消え去ることになる。

 ところで、樹花鳥獣図屏風でも、背後の浄土池みたいなところでのんびり泳いでる馬?だとか、お風呂のおもちゃみたいな水鳥だとか、脇役の動物や鳥たちが圧倒的におもしろいが、
 この白象群獣図も、逢魔が時の薄明のような中を目をこらして見てみると、ものすご〜〜くかわいい猿やらむささび、さらには麒麟などがいて、それらが妙になかよくしているのが見える。
 特に猿の瞳が、たまらなくかわいい。



 ちなみに、樹花鳥獣図屏風ももちろん出展されていた。
 あれ、こんなに小さかったっけ?と思ったが、たぶん以前は、平らにのばして展示されていた?


 * 7月7日、追記(訂正)

 目録を見れば見るほど、以前見たものと印象が異なるので、調べてみたら、
 何と、まったく別の屏風でした。
 不勉強で恥ずかしい。失礼しました。
(今回展示されていたのは、静岡県立美術館の「樹花鳥獣図屏風」ですが、以前観たのは、アメリカのプライス・コレクションの「鳥獣花木図屏風」でした。)
 基本的なパーツはほとんど同じだが、色調、タッチを含む描き方がかなり異なるので、印象はだいぶちがう。
 わかりやすい点をあげれば、
 どちらも、基本的には、升目の線にかかわらず絵の線がひかれ、色が分けられているが、
 プライスコレクションの方は、なぜか一部だけ、升目の線に沿ってギザギザに色が分けられているので、よりドット絵っぽく、抽象的なイメージが強い。
 それに対し、今回展示されていた静岡所蔵の方は、色分けがより複雑かつ精緻で、西洋の点描画そのもののようにも見える。

 そのちがいは、ちょっと同一人物の手によるものとは思えぬほどで、どちらかが工房作ということか。
 もし、こんな大作を、こんなに異なる形で何枚も描いていたとしたら、ちょっとびっくり。
   
 ちなみに、わたしは、全体的に淡く明るい色調で、動物や植物(花々)の数も多く、生き生きしており、パライソ感(浄土の雰囲気)が色濃い静岡の屏風の方が好み。
 たとえ、こちらが若冲の真筆でなくても、こちらの方が好み。




 これらに関連して、こんなおもしろい絵も展示されていた。


 白象図、鯨図 松本奉時


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 ガマの絵などで有名な江戸時代後期の大阪の表具師、松本奉時の作品。
 もちろん、若冲にインスパイヤされたもので(若冲とは交友があったらしい)、一見、なんじゃこりゃ、と思うが、鯨図など、若冲の屏風よりも迫力があって、なかなか味がある。

 ただ、象の絵は、完全に上の屏風絵より、下のタイル画をもとにしているようなので、(キバも2本ある)
 鯨も、何か別の元絵があるのかもしれず、もしそうならぜひ見てみたい。 



 蓮池図 (1789) (写真右=部分)


 五百羅漢図 (写真左下)


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 蓮池図は、もう少し保存状態がよかったら、文句無しにこの展覧会の最高峰と言っていいんだろう。
 これは、美術館でなく、お寺などで静かに見てみたい。

 五百羅漢図は、あの石峰寺図に比べ、羅漢様が妙に劇画調だな、と思ったが、よくよく見てみると、表情などけっこうふにゃふにゃ化が進んでいる。
 これも数えたら、ほんとに500人なのでは。
 それにしても、なぜこんなに小さく、細かく描くか。
 


 鶏図(1789年) 襖八面、掛軸一幅、屏風二曲一隻


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 上記の通り、妙な組み合わせの、計十一枚にもおよぶ、大部なセット。

 若冲の鶏は数あれど、これは、最もどぎついものの一つでは。
 墨絵だというのに、異様にくっきりとした硬質かつ細密な線で、鶏というより、ほとんど怪鳥、いや、超鶏(ウルトラチキン)、とでも言った方がいいくらいにデフォルメされた鶏が、こんなことあるかい、と思わずつっこみたくなるような激しいポーズで躍動している。

 すなわち、この絵の持ち主の座敷に入ると、
 襖全体にびっしりと、この世のものとも思えぬ超鶏が描かれ、
 それだけでなく、床の間の掛け軸にも超鶏、さらにはダメ押しに屏風まで置いてあって、そこにもまた超鶏が描かれ、
 そのおびただしい超鶏のすべてが、今にも絵から飛び出して襲い掛ってこようかという勢いで踊り狂っている、
 というすさまじい状態だった、というわけで、いったいどういうつもりだったのか。

 ちょっと恐いものみたさで、その部屋に入ってみたい気も。


 鶏の屏風では、最晩年(1795年)の、さらさらとした、一筆書きか、抽象画みたいなのもすごい。

 鶏の尾が、まるで書道の文字みたいにくるくる躍動していて、何か言葉が隠されているのか、とも思ったが、そうではないみたい。


 以上、中期・後期の「水墨画」ももちろん個性的ですごいんだけど、唯一無二ともいうべきそのワザを、ちょっと言葉が悪いが、これでもか、これでもか、とひけらかしているような気配を感じてしまう。
 もちろん、そうしても当然のすごさなんだけど。

 上の11枚組「鶏図」など、あまりにも精巧で、まるで、いつもの若冲の極彩色の精密画のモノクロ写真みたい。

 わたしは、水墨画では、やはりこれぞ、ザ・水墨画とでもいうべき、比較的初期の「花鳥蔬菜図押絵貼屏風」(1760)あたりが一番好きかも。
 相国寺で見た、あの金閣の芭蕉や葡萄に通じる真摯さ。



 梅に鸚鵡


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 おうむ、かわいいんだけど、なぜ、梅にとまらせないといけない?
 おうむの絵に関しては、その他の、異国情緒満点のデザイン調オウムもなかなかすてき。



 全体をひととおり見て、あらためて思ったのだが、若冲の、気合いを入れて描いた人物は、わたしの場合、あまり心に響いてこない。
 そう言えば、相国寺の仏画もまあまあだった。
 ふにゃふにゃな羅漢様なんかはすご〜〜くよいのだが、
 あと、風景画、というか、山水画、けっこう苦手?
 


▽ ちーばくんとも再会。千葉は、そこら中ちーばくんだらけでした。(今年、いよいよ国体があるのだ)

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 会場の千葉市美術館のある、千葉市中央区役所の建物。

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 ここには、かつて、歴史的建造物があった。(川崎銀行千葉支店)

 古い建物の外観を保存して、高層建築に建て替える、いわゆる張りぼて建築は、これまで何種類か見てきたが、
 ここでは、何と、古い建物をそのまま残して、それを覆うように高層建築が建てられている。
 覆い堂、または鞘堂型建築、と言うべきか、こんなのは初めて見た気がする。
 (上の写真でも、よく見ると、正面に古い建物がはめ込まれているのがわかる)

 古い建物の正面入り口は、そのまま外部に向いており、また、高層建築のメインエントランスの巨大な吹き抜けロビーから、古い建物の外観を見ることができ、側面の元の扉から内部に入ることができる。

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 内部は、名前もそのまんまの「さや堂ホール」というホールとして、音楽コンサート等に使用されている。

 さや堂内部。この日も、何かコンサートが催されるのか、古楽っぽいアンサンブルが練習していた。(右)

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 千葉もモノレールのある街。


 モノレールのホームは、えらく低い。

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 このキャラは、何だっけ?

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
随分遠くまで行かれたのですね。
テレビでやっていたのを観たり、また今度やるようですが、実際に御覧になると迫力満点でしょうね。
わが娘も好きのようで、府中の美術館でやってたのを見に行ったような記憶があります。こんなこと言っても、何でもこの頃確かでなくなって悲しい気分です。コメントする資格がないのですが。
今回又お勉強さでていただいて感謝です。
tona
URL
2010/07/09 10:16
 tonaさん、こんばんは。
 千葉はもっと近いと思ったのですが、けっこう遠かったですね。(笑)
 はやぶさのプラネタリウム映画をどうしても観たかったので、千葉まで出かけ、そのついでにすぐ近くでやっていたこの展覧会も観てきました。

 日本画は、個性的な画家が多いので、最近どんどんはまっています。
 とか何とか言いながら、たくさんあちこち行き過ぎて、わたしも、実はけっこう記憶がごちゃごちゃになって、実際に見たのか、TVなどで見ただけなのか定かでない絵など、ずいぶんあります。
 その点、このようなブログなどで記録を残しておくと、一目でいつ何を見たのかがわかってとても便利ですね。
Nora
2010/07/11 02:57

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