カンタータ日記・奥の院

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zoom RSS 10月のトーハク4・お江戸の通りはにぎやか。愉快な売り子たち

<<   作成日時 : 2012/12/01 21:28   >>

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 恒例、お江戸クイズ。「この人、何を売ってるのでしょうか?」


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 答えは、蝶々。(のおもちゃ)

 手元の筒を下に向けると、紙でつくった蝶々が、飛び出し、上に向けると筒先にちょこんと止まるような仕組みのおもちゃだったらしい。
 絵の右側に書かれた売り声は、「てふてふとまれよ、なのはにとまれ」(写真では上の方が切れてしまった)のようだが、もしかして、みんなが知っている「蝶々」の歌詞は、江戸時代の売り声にインスパイアされていた???



 ちょっと癒し系とは、ちがうかもしれませんが、

 観ているだけで楽しくなる、お江戸の物売りたち。



 二十三番狂歌合(江戸時代・19世紀) より

(東京国立博物館・本館で撮影、現在は展示終了)


 この作品、それぞれ趣向を凝らした売り子さんたちの姿がユーモラスな筆致で描かれ、その上に、お江戸の町に響いていた独特の売り声が書かれています。



与勘平(よかんべい、よかんぺい)膏薬

与勘平とは、狐の化身「葛の葉」伝説を描いた人形浄瑠璃・歌舞伎「蘆屋道満大内鑑」(あしやどうまん おおうち かがみ)に登場する奴さん。
売り声の最後は「よかんべい」のようだが、「つければいいよ」とか、膏薬の効き目が「良いでしょう」とかいうことかな。

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お駒飴

飴売りは江戸の物売りの定番のひとつ。お客を呼ぶためにそれぞれ個性的な演出があった。
絵の右側に書かれた売り声は、人形浄瑠璃「恋娘昔八丈」(こいむすめむかしはちじょう)の主人公「お駒」のせりふを物まねしたものらしい。

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あめこかひな飴

売り声が「あめこかひなよ、あめかひな」(「飴ちゃん買いなよ、飴買いな」?)
唄い踊りながら売り歩いた。

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朝鮮の弘慶子(こうけいし)

なにかの薬らしい。

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唄ねぶつ飴

ねぶつは「念仏」。南無阿弥陀仏をもじった唄をうたいながら売り歩いた。
絵の右側に書かれた売り声の最後の方は(写真では上の方がきれているが)、「年は、わ〜かい(若い)だ〜、わ〜かいだ〜」で、ほかにも「赤いだ〜」や「強いだ〜」など、いろんな歌詞があったそうだ。

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七色とうがらし

時々、テレビや映画の時代劇に登場する、大きな唐辛子の張り子を背負って歩く七味唐辛子売り。
「とんとんとん、とうがらし、ひりりとからいハさんしょのこ」の売り声で知られている。
七味唐辛子は、江戸時代に江戸の商人が製造・販売をはじめたらしい。

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茶碗菓子

タルトみたいなものが並んでいるように見えるが、どんなお菓子だろう。

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お猿

お猿といっても、本物ではなく、絵ではおもちゃの「のぼりざる」に見える。
幟(のぼり)のさがった竿を小さなお猿がつつっと上っていくおもちゃ。
今でも売ってるのをみかける。

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熊の伝三膏薬

「伝三郎」さんという人が売り出した、熊の脂を材料にした膏薬。
絵の人物が伝三郎さん本人かは不明だが、猟師の格好をし、ムシロを敷き、小熊(絵だと穴熊っぽい)をつないで看板代わりにした販売スタイルは、当時、よく知られたものだったとか。
切り傷などに効果のある膏薬で、この絵では売り手が、「ガマの油」のような、デモンストレーションをしているところだろうか。熊がかいがいしく手伝ってるみたいに見えてかわいい。

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三番叟

能などで踊られる三番叟のキャラクターのあやつり人形だろうか。
当時、見世物小屋で人気のあった糸繰り人形が、子供のおもちゃになったそうなので、そのひとつ?

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おぢい飴

売り声は「おぢいが来たぞ来たぞ、さんげんばりいっぽん四もん、すてきにながいおぢいが来たぞ」
さんげんばり=三間張で、とても細長い飴であることを表現した売り文句。
「すてきにながい」とはちょっと心惹かれる。

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枇杷葉湯

枇杷の葉に薬草を混ぜて煮出した茶は、暑気あたりなどに効き、江戸では夏によく飲まれた。
煮出したお茶をその場で無料試飲、気にいったら煎じ薬を購入、というシステムだったらしい。今も健康食品売り場なんかでは、よくお茶の試飲をやってるな。

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栗の岩おこし

平安時代には貴族が食していたという「おこし」、江戸時代には手軽に作れる駄菓子、おやつとして全国に広まったとか。
特に安価な粟を材料にしたものは、庶民のお手頃なおやつとして愛されていたようだ。
「岩おこし」は大阪名物。

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徳平膏薬

この絵に書かれた売り声は読めないが、どうやら「この膏薬はさっぱり効かないが、ただ、あかぎれなんかにはよく効くそうだ」という内容らしい。
ちょっとひねった売り文句。

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亀山のお化け

浅草の亀屋忠兵衛という人が、人気の見世物「亀山のお化け、四国を巡って猿となる」を見ておもいつき、雷門のあたりで売り出して浅草名物になった、というおもちゃ。
竹の台に傘などをかぶった人形が乗っており、手拍子を打つと、バネの力で跳びあがり、被り物が飛んで人形が顔を現わす、というもの。

別名「とんだりはねたり」で、以前書いた東博の団扇絵の記事中の「東都三婦玖対」(歌川国貞)に描かれている。
この時は、いったい何だかわからず、コメントでおもちゃだということを教えていただいたが、ここでまたつながった。

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さらっと描かれすぎで、わけがわからないが、妙にかわいい。

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 先日、サントリー美術館で行われていた、お伽草紙展(すでに終了)で、江戸時代に付喪神の物語が流行する源流として、物への愛着、こだわりをテーマにした絵巻、三十二番職人歌合絵巻というのを観たが、
 その発展形か。



 熈代勝覧の中にも、同業(おもちゃ&飴売りなど)の方々がたくさん。

 眺めていると、にぎやかな呼び声が聞こえてくるかのようだ。

以下、地下鉄三越前駅の地下通路の壁に掲示されている「熈代勝覧」を撮影したもの。

中央には上に出てきた「お猿売り」。
左の天狗面を背負った人は「金毘羅参り」といって、金毘羅様への代参を名目にお賽銭をもらう「職業」の人。お客は、お賽銭をあげたあとに、天狗の面を拝むのが通例になっていた。

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中央の、小さな幟や太鼓の束を持ったひとは「からから売り」
子供が手に持って遊ぶでんでん太鼓などのおもちゃを売っていた。

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 こちらはみんな飴売り。他にももっといる。
 以前は気が付かなかったが、探してみると、飴売りがやたら多い。
 右の写真、奥のお店では、かまぼこを作っているらしい。

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 あまり関係無いが、あやしい辻占い。

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 これらのお江戸の絵は、総じてものすごくかわいい。その上、ばつぐんにうまい。



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
カラフルで上手くて可愛い絵ですね。
飴売りが何て多いのでしょう。
いろいろな商店がなくて、あらゆるものはモノ売りから買っていた時代だからこそ、こんな素晴らしい絵にも描かれたのですね。
熈代勝覧からも見つけられて凄いです。
蝶や猿などおもちゃもなかなか手が込んでいます。
七味唐辛子売りを映画などでご覧になったのですね。
私は夫が毎日時代劇を見ているので、横目でちらちらですがまだ見たことがないです。
小さい頃豆腐や納豆売りの声は耳にしました。そこから江戸時代のこれらの呼び声を想像したりします。
tona
URL
2012/12/05 09:36
tonaさん、こんばんは。
 ほんとにうまいですよね。しかも、かわいくて癒されます。
 絵がすてきだったので写真を撮り、以前の記事にちょっとだけのせたのですが、書かれている文字を何とか読んで調べていくと、とてもおもしろかったので、改めて記事にしてみました。
 tonaさんに以前教えていただいた三谷一馬さんの「江戸職人図聚」と同じシリーズの「江戸商売図絵」という本がとても参考になりました。(なんと上の売り子のほとんどがのっていました!)
 熈代勝覧の写真は、あの日本橋の地下の展示を撮ったものです。
 こうして見ると、当時のお江戸はほんとうににぎやかで楽しそうですね。個性的な売り声が聞こえてきそうです。
 そう言えば、うちの方では、最近また豆腐屋さんなどの呼び声が響くことが多くなりました。
 呼び声は昔ながらですが、みんなトラックで回っています。
 
 唐辛子売りは、特徴的なので、江戸風物の一つとして、映画やドラマによく登場するようです。最近も、NHKのBS時代劇の「猿飛三世」の中で見ました。
 昔の映画などを見ると、けっこうていねいに当時の売り子などが出てくるので、それらを見つけるのも楽しいですよ。
Nora
2012/12/05 22:19

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