カンタータ日記・奥の院

アクセスカウンタ

zoom RSS ドラマティックな仏像ワールドへようこそ。少し早い自由研究特集 〜仏像のみかた鎌倉時代編 @ トーハク

<<   作成日時 : 2014/07/07 10:36   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 夏休みの自由研究にもぴったりの、トーハクならではの楽しい企画。
 一応、わたしなりに気がついたポイントを、「やさしい解説」風に、書いてみました。



画像




 親と子のギャラリー

 仏像のみかた 鎌倉時代編

  トーハク 本館11室&本館14室


画像
画像


画像




 いつもの仏像ルーム(11室)が、何だか華やかでにぎやかな雰囲気に・・・・!


 入ってすぐのセンターには、頼朝像が鎮座し、お出迎え。(有名な頼朝画像と同じく、この肖像彫刻ももともとは頼朝像ではないとの説が有力だが、長い歴史の中でずっと頼朝像として大切にされてきたのだから、やはり頼朝像でいいのだ)

 頼朝は、あいかわらず冷酷な策謀家というイメージが根強いが、実は仏教や文化を何よりも大切にする人だった。(政治の上でのそれらの重要性を熟知していた、ということなのかもしれないけれど、それだけではとても説明できない、ちょっと尋常ならざる信仰心を裏付けるような行動も、けっこう見受けられる)
 武士の時代だけでなく、武士独特の文化、鎌倉文化をも切り拓いた人でもあるので、ここにいるのは、ある意味とてもふさわしいのだ。

 
 頼朝像の横には、はじめに、運慶がらみの大日如来、その孫の康円(この名前はたくさん登場するので覚えておくこと)の愛染明王などが並び、まずはそれらを鑑賞することで、鎌倉彫刻の特徴をつかめるようになっている。(これらは撮影禁止)
 

 そして、その背後に、いよいよ今回の展示の目玉、トーハクのスター仏総出演の仏像ワンダーランド。

 ありがたい仏さまに勝手にいろいろな飾りなどをつけていいんだろうか、と言うなかれ。
 このドラマティックな物語世界こそが、仏像本来の世界なのだ。そして、そんな世界を表すのに、今回のテーマ、写実的な鎌倉仏はぴったり。


 なお、そのような仏像本来の物語世界を体験するのには、やはりお寺にお参りするのが一番であることは、言うまでもないんだけど、気軽にそれが味わえるんだから博物館はありがたい。



 いつもながらお美しい菩薩様


 しかし、背後に何やら神々しい情景が。

画像



 この菩薩様が正確に何菩薩様なのかは、はっきりとはわかっていませんが、
 浄土から来迎なさろうとしているその瞬間をわかりやすく演出しているのだ。
(この像を弥勒菩薩とした場合は兜率天。仏様によっていらっしゃる浄土は異なるのです)

画像



 雲まで造っている。

画像



 博物館ならではのびっくり展示だが、このような、仏像だけでなく、仏像世界、状況などを含めての再現と言う意味では、この頃の仏像制作の目指すところとも一致しており、決しておかしなことではない。


 これまで何度この仏像を撮ってきたかわからないが、このような背景は初めてで、とっても貴重な機会となりました。

画像



 美しい装飾もさることながら、水晶を使った、しっとりと濡れたような目や唇に注目です。


 (参考)

 ちがうコーナーで展示されていた、

 福島・いわき市所蔵、鎌倉時代の巨大な阿弥陀三尊像

画像


画像
画像


画像



 上の彫刻の写真で見られる雲の上の蓮に乗っている姿は、この絵の両脇侍の菩薩様(観音菩薩と勢至菩薩)とちょうど同じですね。
 厳密には、彫刻の菩薩立像は、どのような種類の菩薩なのかははっきりとはわからないので、果たしてこの絵の菩薩様と同じような姿でよいのかどうかも、誰にもわからないことです。
 ただ、ここではそんなことにはこだわらず、仏像には物語があって、その物語を表すように造られていることが多いのだ、ということをわかっていただければよいと思います。
 実際にこのように飾ると、物語がよく伝わってきますよね。
 そして、本当のお寺でも、細かいことは抜きにして、その物語(仏様の教え等)が伝わりやすい形で像を安置している場合も多いのです。


画像




 愛染明王様

 観察しやすいように、華麗極まりない厨子から出され、(厨子もすぐ隣に展示)
 厨子内の荘厳な状況を再現するため、背後に美しい幕が。

 密教的なこの仏像の特徴が引き立てられている。  

画像



 涅槃図の前で涅槃に入られるお釈迦様

 これでは「物語」としてはおかしいので、この場合は、この像がどのような像であるかを、背後の絵で説明しているわけです。

画像


 ここに懸けられたような、嘆き悲しむ諸仏や弟子たち、動物たちをびっしりと描きこんだ涅槃図は数多く、また、彫刻でも、この像のように涅槃に入ろうとする釈迦を彫った単独の涅槃像は多いのだが、(タイのものも有名ですね)
 さまざまな群像も加えた彫刻の涅槃像というのは数少ない。その中では、法隆寺五重塔の涅槃像は、あまりにも名高い。


 この方のまわりだけ、深い虚無。

 阿弥陀如来坐像

 この仏像の、「光」としての存在を際立たせているのだろうか。

画像


 これまた、見事な鎌倉彫刻、運慶様阿弥陀像。

 わたしは、快慶様阿弥陀像の方が好きなのだが、それはまた別な話。
 同じ慶派鎌倉仏師の阿弥陀如来像でも、運慶と快慶ではだいぶちがう。そういう意味で、仏像も芸術作品なのだ。
 (この後の第14室に、一応快慶様阿弥陀像も展示されています。その他に、頼朝が崇拝したことから当時鎌倉中に流行した善光寺の一光三尊式阿弥陀像も。これは、運慶・快慶よりずっと前からある形)

 なお、○○様というのは、その流れをくむ、ということで、必ずしも運慶・快慶らが直接造った、というわけではありません。



 やはり今回の展示で一番の力作、一番すごかったのが、これ。

 文殊渡海五尊像

 作者は、先ほど登場した康円です。


画像



画像



 スペクタル!

画像


 逆巻く波。ものすごい力作。

画像



 やはりこの像で魅力の一つは、童子の文殊を見上げる純真なまなざし。

画像
画像



 この像は、光背の飛天にも大注目!(詳細記事、こちら


 康円は、それほど大きな像を残していないので、他の慶派スター仏師に比べると、それほど目立った存在ではないけれど、このような群像等によって、仏像の持つ「物語」の場面をあらわした「ジオラマ仏」を造らせたら右に出る者が無い。

 正にこの企画にぴったりの仏師なのだ。


 後ろ姿

画像




 続く、14室では、平安仏との比較、鎌倉仏どうしの比較など、多角的な展示で、鎌倉仏のさまざまな特徴を学べる。



 小さいけれど、宝石のように美しい像。結晶化したような緊張感にあふれていながら、限りなくやさしい。
 究極の鎌倉仏。

 もうひとりの文殊様

 同じ文殊菩薩でも、渡海五尊像とはまるで異なる姿であることに注目。

 恒例、一回り。


画像



画像



画像



画像



画像




 精緻な鎌倉の地蔵像

 かんたんにお地蔵様と言っても、これまたいろいろな姿のお地蔵様がいらっしゃるのだ。


画像




 鎌倉仏と言えば、劇画調のリアル憤怒系。

 毘沙門天&四天王像


 上の毘沙門天は、平安時代の作。
 下の四天王像が鎌倉仏。比べてみると、何とちがうことか。


画像
画像



画像
画像



 この方々は、四天王眷属。他にあまり例の無い貴重な作例。

 はじめの方にのせた、文殊渡海五尊像と同じ、康円の像。

画像
画像


画像



 ↓この四天王様は康円作ではないのだが、いっしょにすると、大迫力。(実際はすごく小さいのだが)
  同じ鎌倉仏なので、違和感はほとんど無い。

  この四天王眷属も、やはり、めずらしい「ジオラマ仏」なのだ。

画像



 鎌倉仏ではないが、平安の毘沙門天像を代表するこちらの方も展示されていた。 

川端龍子ゆかりの毘沙門天。(もと中川寺十輪院。般若寺近くの山里にあった寺院)

 堂々たる平安仏。

画像


画像
画像




 上記四天王眷属、第11室のところでご紹介した愛染明王など、トーハクには、内山永久寺という奈良にあった大寺院に伝わっていた仏像が多い。
 明治維新後、お寺よりも神社を大切にしよう、という政策によって(廃仏棄却)、それまで一緒のことが多かったお寺と神社が分けられ、また、多くのお寺が取りつぶされてしまった。
 内山永久寺もそんなお寺の一つ。

 四天王眷属は、当然4体いるのだが、今ではあちこちにちらばってしまって、トーハクには2体しかない。
 つまり、本来たくさんの群像が勢ぞろいして、「ジオラマ」、つまり物語を形成すべき仏像が、離れ離れになってしまっているのだ。

 すぐ上でご紹介した毘沙門天のいらっしゃった中川寺なども、失われてしまった大寺院。
 その他、有名なあの興福寺なども、一時はかなり荒廃してしまっていた。(第11室のところで紹介した文殊渡海五尊像も、もとは興福寺の仏像)



 トーハクを代表する2組の十二神将のコラボ。

 これは、同じ鎌倉彫刻でも、京都の貴族が作った寺院(浄瑠璃寺)に伝わったものと、坂東の武士が作った寺院(曹源寺)に伝わったものではどのような違いがあるか、というのがテーマ。
 一般的には、貴族=おだやか、武士=荒々しいというイメージだが、果たしてそうか、自分の目で確認してみよう。特に表情。


画像



画像


画像
画像




 この十二神将のうち、浄瑠璃寺の十二神将は鎌倉彫刻を代表する名作だが、これも離れ離れになってしまっていて、トーハクには5体しかない。

 このような、あちこちに散らばってしまっている「ジオラマ」仏、つまり本来一つになって物語を形成すべき仏像たちが、また勢ぞろいし、感動の一大ジオラマをなして物語を語り出すのを、いつの日か観てみたいものだ。
 それが可能なのは博物館であり、博物館の大切な役割でもあると思う。
 そして実際に、そのような、永久に失われてしまった情景の復元を目的とする展覧会も、次々と実現しつつある。



 一回りしたら、

 トーハク名物の、仏像選手権に投票し、お気に入りの仏像を応援しましょう。

 こちら (トーハク公式HP)

 今回は、侍者・眷属編という、しぶ〜〜い内容。





画像




そのほかの「記事目次」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
ドラマティックな仏像ワールドへようこそ。少し早い自由研究特集 〜仏像のみかた鎌倉時代編 @ トーハク カンタータ日記・奥の院/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる